さいたま国際芸術祭2020

「 花 / flower 」

  • 「さいたま国際芸術祭2020」にて6組のアーティストをキュレーションしました。開催直前に新型コロナウイルスの感染が広がったため、ベス・スティーブンス&アニー・スプリンクルが作品制作のための来日ができなくなったことや、アラン・カプローの《Fluids 1967/2020》が中止になるなどコロナ禍の影響を強く受けた芸術祭となりました。

    プロジェクト期間:2018年4月-2021年3月
    展示会期:2020年10月17日(土)-11月15日(日)※月曜休場 (2020年10月3日(土)から作品映像配信)
    会場:さいたま市内各所

  • 日常を問い直すキュレーションの構築

    インビジブルは、芸術祭全体のテーマである「花」を、生命の循環や社会の綻び、目に見えない絆といった多角的な視点で解釈し、6組のアーティストをキュレーションしました。市民の日常生活の中にアートが入り込むことで、慣れ親しんだ都市の風景や価値観を問い直すプロセスの設計に注力しました。

    状況の変化に応じた柔軟な作品展開

    開催直前の新型コロナウイルス感染拡大を受け、当初予定していた海外作家の来日中止や、集客を伴う参加型プロジェクトの断念という事態に直面しました。これに対し、物理的な集まりを回避しながらも対話を継続する手法を模索し、オンラインを活用したコミュニケーションや、非対面でも成立する表現へと活動の力点を移す柔軟な対応を実践しました。

    実践者との対話による共創の模索

    インビジブルのプロジェクトマネージャー自身がキュレーターとして立ち、作家と深く対話しながらさいたまの土地性に根ざした制作をサポートしました。特に、ハプニングの先駆者であるアラン・カプローの再解釈や、エコロジーと芸術を繋ぐ作家たちの思想を、いかに日本の地域社会と接続させるかという共創のプロセスを重視しました。(アラン・カプローのプロジェクトについては最終的に中止となった)

  • 逆境下における新たな表現形式の提示

    コロナ禍によって主要なパフォーマンスが中止や変更を余儀なくされる中で、アートが社会の非常事態にどう応答できるかという問いに対し、具体的な実践を通じて一つの回答を示しました。来日が叶わなかったベス・スティーブンス&アニー・スプリンクルらの思想をオンラインや代替展示で伝えるなど、物理的制限を超えた表現の可能性を可視化しました。

    見えないつながりの再定義とアーカイブ

    アラン・カプローのプロジェクト中止など、実施できなかった活動を含めて「記録」や「対話」としてアーカイブ化したことは、芸術祭における重要な成果となりました。物理的な作品が消えても、プロジェクトに関わった人々の意識の中に残る「見えないつながり」を、不確実な時代におけるアートの価値として再定義しました。

    都市におけるアートの公共性の拡張

    市民が日常を送る場所でアートを展開したことにより、美術館という特定の空間を超えた場所での公共的な役割を拡張しました。芸術祭が直面した困難そのものを社会的な経験として共有し、その後の「新しい日常」においてアートがいかに市民の想像力に寄与し続けられるかを示しました。

  • ディレクター:遠山 昇司(映画監督)

    参与:芹沢 高志(P3 art and environment 統括ディレクター)

    ビジュアルディレクター兼キュレーター:田中 偉一郎(クリエイティブ・ディレクター/現代美術作家)

    キュレーター:雨森 信、大高 健志、武田 知也、浜谷 辰彦、三浦 匡史、NPO法人インビジブル

    公募キュレーター:戸塚 愛美

    市民プロジェクト・キュレーター:松永 康

    市民プロジェクト・コーディネーター:浅見 俊哉

    主催:さいたま国際芸術祭実行委員会

記録写真

前へ
前へ

くらしの美術館

次へ
次へ

義仲館