たまゆらの盆
影とともに、影とともに、
夜の森を練り歩く。
みんなでつくる、もうひとつのお盆。
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静寂と闇に包まれる冬の富岡町・夜の森で生まれた「もうひとつのお盆」。
「たまゆら(玉響)」とは、魂がふと立ち現れる微かな時のこと。影絵師・音楽家の川村亘平斎氏が主宰する音楽ユニット「滞空時間」による幻想的な演奏と唄に導かれ、建物や路面に影絵を投影しながら夜の森地区を練り歩きます。2026年の開催ではプロジェクトFUKUSHIMA!による「大風呂敷」も登場し、精霊を迎える旗印として冬の夜の風景を鮮やかに彩りました。人間と非人間の境界を越えるような深い静寂の中で、土地の記憶を身体で受け止める。「たまゆら」という言葉が示す通り、光と影が交差する束の間のひとときに、人間だけでなく土地の記憶や目に見えない微生物、精霊といった存在にまで思いを馳せる、新たな文化的営みの定着を目指しました。
プロジェクト期間:2025年9月-2026年3月
開催日:2026年2月15日(日)
会場:夜の森公園、夜の森地区 -
地域資源としての暗闇と静けさの再定義
本事業では夜の森に広がる暗闇や静けさを単なる寂しさではなく、過去の記憶に耳を澄ますための貴重な資源と捉え直すことから始めました。土地が持つ固有の環境をネガティブに捉えるのではなく、表現の土台として再発見することで、この場所でしか成立しえないプロジェクトの核を構築しました。
住民参加による表現と関わりしろの創出
制作過程では影絵師や音楽家を招聘し、幅広い世代が参加するワークショップを開催しました。この町にいたかもしれない生き物をテーマに住民自らが影絵を制作するプロセスを通じて、祭りへの主体的な関わりしろを深めていきました。専門家と市民が共に手を動かすことで、個々の創造性が祭りの風景の一部となる仕組みを整えました。
多様な組織との協力による一体感の醸成
富岡町役場や地元行政区、さらには外部のプロジェクト団体とも強固な協力体制を構築しました。会場となる夜の森公園一帯に巨大な大風呂敷を掲げるなど、行政の協力と民間のアイデアを掛け合わせることで、住民の彩りと一体感が溢れる舞台を創出しました。組織の枠を超えた連携が、多層的なプログラムの実現を支えました。
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幅広い世代と地域からの来場
2026年2月15日のイベントには約120名が集まりました。参加者は30代から40代の現役世代を中心に県内外から幅広く集まり、遠くは福岡県から足を運んでくださる方も見られました。多様な層が夜の森という場所に集結したことは、この地が持つ潜在的な集客力とプログラムへの関心の高さを証明するものとなりました。
地域への自信と継続的な関係性の構築
地元住民の中に桜のない時期の夜の森でもこれだけの人が集まれるという自信と継続を望む強い意志が生まれたことが大きな成果となりました。また山形県から参加した学生が次回の町行事への協力を申し出るなど、単発のイベント消費に終わらない関係人口の具体的な創出も確認でき、地域外との新たなつながりが芽生えています。
新たな風物詩としての自律的発展
本プロジェクトを一時的な取り組みで終わらせるのではなく、活動を継続していく方針です。たまゆらの盆を夜の森の新たな風物詩として育てていくための土壌が整い、住民自らが土地の魅力を更新し続けるための社会実験となりました。
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参加アーティスト
川村亘平斎
滞空時間(出演メンバー 川村亘平斎/HAMA/GO ARAI/さとうじゅんこ/AYA/トンチ/鈴木雄大/あだち麗三郎)
プロジェクトFUKUSHIMA!(参加メンバー:小池晶子、山岸清之進、中﨑透、小野慎太郎、髙野久美子、和田陽子、アサノコウタ、沼田夕妃、坂口千秋)記録撮影(写真):吉田和誠
記録撮影(映像)
ディレクション:西野正将
撮影:玄宇民、冨田了平、西野正将
モーショングラフィッカー:矢崎尚デザイナー:小池晶子
ローカルコーディネーター:鈴木みなみ
制作経理:新井優希、株式会社きてん
会場設営/機材運搬:有限会社アド・プロ工芸社、RABBIT&TURTLE株式会社
飲食提供:GEN’S BURGER、フードトラック ダンケ・シェーン、浜通り食と藝術プロジェクト (協力:猪狩昭彦、猪狩いづみ、大和田日出子、菅野彩葉、松野にこ、藤澤あおい / 食材協力:渡邉農園)
特別協力:遠藤一善
協力:秋元菜々美、石下みちる、岡崎拓未、岡田愛里、菅野彩葉、川上友聖、菅原康太郎、関拓人、髙橋颯月、橘咲良、前田優子、松野にこ、服部七海、藤澤あおい、山口真緒、嘉原妙、若井景、渡辺朔次郎
プロジェクトアシスタント:日向志帆(NPO法人インビジブル)
プロジェクトディレクター:山本曉甫(NPO法人インビジブル)
主催:NPO法人インビジブル
本事業は、福島県浜通り地域を映像・芸術文化を通じて活性化させる経済産業省「福島浜通り映像・芸術文化プロジェクト」のうち「映像・芸術文化を通じた関係人口創出事業(ハマコネ HAMA CONNECTED)」の補助金採択事業として開催しました。