長崎アートプロジェクト「じかんのちそう」

歳や時間を重ねること

  • 長崎アートプロジェクト「じかんのちそう」は長崎市野母崎地区を舞台に「エイジング(歳や時間を重ねること)」 をテーマにしたアートプロジェクトです。長崎県が主催した本プロジェクトのアートプロデュースをインビジブルが担い、キュレーターの選定から、国内外で活躍するアーティストやクリエイターと共にリサーチを行い、歳を重ねることで見えてくる風景や経験の共有や後世への継承など、この地域の未来を考えるきっかけを探るプロジェクトに取組みました。

    プロジェクト期間:2019年12月-2021年3月
    展示会期:新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、展覧会直前で中止が決定
    会場:長崎市野母崎地区各所

  • 会場選定とリサーチ

    約10年前に廃校となった「樺島(かばしま)小学校」を会場に選定しました。廃校当時の埃や空気の抜けたボールなどがそのまま残る空間を「時間の地層」というテーマに重ね、場所の記憶を掘り起こすリサーチが行われました。

    多様なジャンルの作家による滞在制作

    現代アートの枠に留まらず、映像・音楽・伝統工芸などの分野で活躍する3名の作家(VIDEOTAPEMUSIC、吉田真一郎、KMNR™)がキュレーションされました。

    市民参加型のワークショップと交流:

    KMNR™は、市民が自分を形作ってきた「思い入れのある品」を持ち寄り、それを和紙の中に漉き込むワークショップを実施。物質から解放された記憶を「繭」のような形に作品化しました。

    VIDEOTAPEMUSICは市民から「身の回りの景色」「生まれる前からあるもの」「正月の風景」などの動画や地元の音を募り、それらをサンプリングして一つの映像・音楽作品を作り上げる「ビデオレター」のようなやり取りを重ねました。

    学校の記憶の再配置

    樺島小学校の文集から当時の子供たちの言葉をピックアップし、校内の鏡やガラスにカッティングシートで配置する展示を試みました。

  • オンライン展覧会(映像作品)としての結実

    新型コロナウイルスの感染拡大により展覧会の実施ができなくなった代わりに、アーティスト、キュレーター、参加した市民の声を一つにまとめた映像作品が制作され、公式に配信されました。これにより、現地の空間と創作プロセスがアーカイブ化され、より広い層へ届く形となりました。

    場所の価値と人々の意志の可視化

    忘れ去られようとしていた廃校という場所にアートを通じて再び光を当てた冊子を制作しまいた。また、リサーチを通じて「野母崎に住みたい、ここにいたい」という住民の強い意志や、土地への深い愛情がプロジェクトの基盤として浮き彫りになりました。

    新たな表現手法と関係人口の創出

    捨てられるはずだった鉛筆などの「漂着物」を作品化したり、見知らぬ人同士が大切な素材をシェアし合ったりする中で、参加者が自分自身の思いを振り返る機会が生まれました。展示が終了しても続く「対話の装置」としての機能や、参加者同士の緩やかなつながりが、今後の地域文化の地層となって蓄積されました。

  • 参加アーティスト:VIDEOTAPEMUSIC、吉田真一郎、KMNR™

    映像制作:西野正将

    キュレーター:桜井 祐(TISSUE Inc. 共同設立者/編集者)

    プロデューサー:NPO法人インビジブル

    主催:長崎市

制作物

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