アートで広げる元気プロジェクト

創造の力で福島の元気な未来を描く

  • 本プロジェクトは、東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県浜通り地域や復興公営住宅の住民を対象に、アートを通じた自己表現の機会を提供し、地域コミュニティの再生を支援する事業です 。アートによる生きがい創出とコミュニティの再構築を目的としており、多彩なアーティストによるワークショップを通じて、福島の「今」と「復興の歩み」を力強く発信することを目指しています。山本曉甫氏はキュレーターとして、ヴィヴィアン佐藤、磯崎道佳、川村亘平斎、木村充伯の4名のアーティストと共にプロジェクトを推進しました。

    プロジェクト期間:2024年6月 - 2025年3月
    ワークショップ実施会場:石倉団地、郡山市労働福祉会館、下田第二市営住宅、富田団地、勿来酒井団地、西町団地、東原団地、南町団地、守山駅西団地、若宮団地、北原団地、南町団地、夜ノ森駅周辺、夜ノ森公園、大熊インキュベーションセンター、linkる大熊
    展示会期:2025年3月15日
    会場:大熊インキュベーションセンター

  • 多様な表現による自己解放の場の設計

    キュレーターの山本氏は、参加者が普段隠れている「自分」を解放し、内面に向き合えるような多様なプログラムを構成しました。ヴィヴィアン佐藤によるヘッドドレス制作では、頭上に個々の「建築」を建てるように自己を表現し 、磯崎道佳によるランチマット制作では、自らの気持ちを言葉にしてアップリケとして装飾するなど 、参加者が主体的に手を動かし、内面を曝け出せるプロセスを重視しました。

    土地の記憶と身体性を繋ぐフィールドワーク

    浜通り地域特有の文脈を反映させるため、アーティストが現地のリアリティに触れるプロセスを大切にしました。川村亘平斎は除染で剥ぎ取られた「20cmの表土」や更地となった夜の森地区を巡り、土地の精霊や人々の記憶を呼び起こす影絵の練り歩きを設計 。木村充伯は福島に生息する動物たちをモチーフとした油絵具による彫刻制作を展開しました。

    協働体制による持続的なコミュニティ支援

    福島県の復興公営住宅を支援する「NPO法人みんぷく」や地元団体と密接に連携し、円滑な運営体制を構築しました。単発のイベントに終わらせず、ワークショップを通じて事務局と支援団体、そして参加者との間に連帯感を育むプロセスを構築 。全15箇所で249名が参加する広域的な展開を実現し、対話が自然に生まれる「お茶会」のようなリラックスした交流の場を各地で創出しました。

  • アートによる「生きがい」と「個」の解放

    ワークショップを通じて、参加者一人ひとりが独自の感性を発揮し、二つとして同じものがない作品群が生まれました。参加者からは「違う自分を発見した」「今年一番に笑えた」といった声が寄せられ、アートが住民の生きる活力を引き出す装置として機能したことが示されました。物理的な作品制作を超えて、参加者の心身のケアや自己の在り方の再確認に寄与する成果を上げました。

    新たな関係性の創出とコミュニティの親密度向上

    作品を通じたやり取りが自然な会話を生み出し、普段あまり関わりのなかった住民同士のつながりが芽生えるなど、コミュニティの親密度が高まりました。プロジェクト終了後も、復興公営住宅の枠を超えた住民同士の交流が続いており、震災から時間が経過した今、孤立を防ぎ連帯感を強めるための有効な一歩となりました。

    集大成としての発信と社会的理解の促進

    2025年3月には大熊町で成果展示を開催し、約400名の来場者を記録しました。アーティストと参加者が共創した作品を一般公開することで、プロジェクトの意義を広く伝えるとともに、福島の復興公営住宅が直面する現状への理解を深める機会となりました。アートが人と人、そして地域を結びつけ、福島の未来への希望を象徴的に示す確かな手応えを得る結果となりました。

  • アーティスト:磯崎道佳、ヴィヴィアン佐藤、川村亘平斎、木村充伯

    キュレーター:山本曉甫

    記録撮影:吉田和誠

    アシスタント:菅野いろは、関拓人、髙子結衣、西塚笑子、二瓶麻美、原田夏葵、日向志帆、藤澤あおい

    報告書編集:嘉原妙

    報告書デザイン:藤城光

    協力:NPO法人みんぷく

    主催:福島県

制作物

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