こちら福島放送室

100年後の研究者へ
今の「声」を残す

  • こちら福島放送室は、2011年の東日本大震災後に福島県浜通りに移り住んだ東京出身でNPO法人インビジブルの理事長を務める山本曉甫と、一般社団法人双葉郡地域観光研究協会(F-ATRAs)代表で、双葉町町議会議員も務める山根辰洋が、この地域で活動する人との対話を通じ、さまざまな視点から地域に対する学びを深めていくポッドキャストです。

    復興という大きな言葉に隠れてしまいがちな、一人ひとりの微細な感情や、試行錯誤のプロセス、土地に流れる空気感。それらを「雑談」という形で丁寧に掬い上げます。映像や文字では伝えきれない、言葉の間(ま)や声のトーンに宿る「個人の真実」をアーカイブすることで、外部から固定化されたイメージではない、多層的で手触り感のある福島のナラティブ(語り)を社会に提示しています。

    そして今の「声」をアーカイブすることで、将来この地域についてリサーチを行う研究者に情報を残すことで、より良いリサーチの糧にしてもらうことを試みます。

    プロジェクト期間:2024年4月-

  • 境界線を溶かす「対話」の場のセットアップ

    相互の信頼関係を下にインタビューという形式を超えた「対話」の設計を試みています。地域に長く住む人と新しく移住してきた人など、異なる視点を持つ人々がフラットに言葉を交わす場を整えることで、「生きた言葉」を引き出すプロセスを大切にしています。

    答えのない問いを「思考し続ける」ことの共有

    これまでの経緯や活動

    事例だけを語るのではなく、いま直面している悩みや、まだ答えの出ていない問い、あるいは「ままならない感覚」をあえてそのまま録音します。プロトタイプを重視するinVisibleの姿勢と同様に、完成された物語ではなく、変化の真っ只中にある思考のプロセスを共有することで、リスナーと共に社会のあり方を模索する時間を作り出しています。

    声のアーカイブによる「気配」の可視化

    収録された声はその場の環境音や独特のリズムを活かしてアーカイブされます。これにより、土地の歴史や記憶、そして未来への予感といった「見えない気配」を、リスナーが耳を通じて身体的に感受できるようなメディア体験へと昇華させています。

  • ステレオタイプを解きほぐす

    「個の物語」の発信 メディアで語られる「被災地」というマクロな視点に対し、ポッドキャストを通じて多様な「ミクロな物語」を可視化しました。リスナーが一人ひとりの声に耳を傾けることで、福島という土地を、自分たちの生活とも地続きにある「人間味あふれる場所」として再発見するきっかけを創出しました。

    音声による「心理的居場所」の創出

    「声」という親密なメディアを用いることで、出演者とリスナー、そして地域内外の間にゆるやかな連帯感を生みました。ポッドキャストを聴くことが、福島への関心を深めるだけでなく、自分自身の内面的な「問い」に向き合う時間となり、地域に関わる人々にとっての精神的な拠り所の一つとして機能しています。

    変化を肯定する「レジリエンス」のアーカイブ

    試行錯誤や失敗、訂正のプロセスを声で残し続けることは、変化し続ける福島において、しなやかに生きるための知見(ナラティブ・レジリエンス)の蓄積となっています。このアーカイブは、土地のアイデンティティを再構築する無形の資産であり、未来の研究者が今の浜通りを知る重要なバトンとなっています。

  • モデレーター:山根辰洋(一般社団法人双葉郡地域観光研究協会(F-ATRAs)代表理事 / 双葉町議会議員) 、山本曉甫(NPO法人インビジブル 理事長)

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